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むし歯のメカニズムその3

今回も前回までに引き続き虫歯について、主には虫歯のメカニズムについてお話をさせていただきます。

一生懸命歯磨きをしても虫歯になってしまう方もいれば逆にそうでない方もいらっしゃると思うんですけれどもそれがなぜなのかというのをお話をさせていただきたいと思います。

前回むし歯のメカニズムには細菌的要因、食事・環境要因、宿主・歯自体の要因の3つが相互的に関わっていて、細菌的要因と食事・環境要因についてお話しさせていただきました。

今回は第3の要因、宿主・歯の要因についてお話しします。前回までの内容でStreptococcus mutansという菌(SM菌)が1番の悪さをする虫歯原因菌で糖類を代謝して酸を出して歯を溶かしていくということをお伝えしましたが、人間側の要因はどうでしょうか?

代表的な宿主・歯の要因としては唾液の量や力というのが挙げられます。皆さんの唾液が実はこの虫歯に対してかなり防御的な因子を持っているんです。

それを表す概念としてステファンカーブという歯科の世界で有名な言葉があります。(Stephen, 1944)

Stephen 1944 より引用

Stephenは被験者たちを集めて5グループに分けある実験を行いました。1つ目のグループが全くこれまで虫歯になったことがない人たち、グループ2は過去に虫歯になったことがあるけれども今現在は虫歯になっていない人、グループ3は軽度の虫歯がある人たち、グループ4が中等度の虫歯がある人たち、グループ5が重度の虫歯がある人たちという5群です。

3~4日前から歯磨きを中止させて口の中に汚れを溜めた状態で、前日から食事を摂らないということをして、糖分を1回断たせその後にこの実験開始時にグルコースの溶液でうがいをしっかりさせて口の中のpHを各グループで調べました。pHというのはアルカリ性か酸性かというのを表す指標で高ければアルカリ性、低ければ酸性を表します。

わかったこととしては、まず第一に「グループ間の中で同じ人間なのにも関わらず口の中のpHの違いが見られ、その順位付けが虫歯のなりやすさのグループに応じてpHが変わっていた」ということでした。そして、グルコース(糖)でうがいをした直後にpHが下がって酸性に傾きその後緩やかに時間を掛けて大体60分ぐらいなんですが口の中が中性に戻っていったというのがこの実験でいわれています。

この研究から派生していわゆるこのステファンカーブというのが以下のようなグラフです。

pHは7が中性でおよそ口の中はpHとしては6.7~7.6ぐらい、だいたい中性ぐらいなので普段は中性の環境下になっているわけです。一般的な概念として食事を摂ると急激に口の中が酸性に傾いていきます。pH5.5を下回ると歯の周りのエナメル質からカルシウムやリンが溶出する(いわゆる脱灰)エリアになってくるので臨界pHと呼ばれます。この5.5を下回って脱灰が起きてしまうというのが食事の後にあるいは食事中に起きる現象です。そして食事を終えると炭水化物や糖分が無くなるのでその後緩やかにお口の中が中性環境下にまた戻っていきます。(再石灰化)実は唾液が再石灰化を起こす役目を担っていて、酸性から中性にお口の環境下を戻していく、この働きを緩衝能と専門用語でいいます。この緩衝能はがいわゆる唾液の力になるわけです。そしてこの唾液の力・緩衝能は個人個人で違います。

酸性環境下から中性に戻る時間というのがだいたい30~120分といわれていて、早い人だと食事をした後20-30分ですぐ中性環境下に戻ります。逆に遅い人は2時間ぐらいかかるのでその間に例えばだらだら間食をしたりするとpHが戻ろうとしているところでまた酸性になり常に脱灰が起きている状態になってしまい、ひいてはこの虫歯になっていきます。だらだら間食をするというのが1つ虫歯になる原因というようにも考えられます。

これまでの話をまとめますと

  1. 虫歯のメカニズムとしては細菌的要因、食事的要因、宿主・歯の要因というのがあること、
  2. SM菌の主な原因物質ってのがスクロース、ショ糖、砂糖が1番虫歯を引き起こしやすいこと、
  3. 唾液の緩衝能のお話、なるべくだらだら間食をしない、そうすることで食事の後に脱灰が起きてもその後に再石灰化が起きて虫歯になりにくくさせてくれるということ

が大事なことです。なるべく食事の後に少し時間を空けて緩衝作用が起きている時間中にだらだら間食をすることなくおやつなどは食事の後にすぐにまとめて食べるなど工夫をした方が虫歯の予防に繋がります。

これらの作用に加えてフッ素なども重要な防御因子になってくるのでがそのお話は次回したいと思います。

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