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マウスウォッシュについて その1

皆さんはマウスウォッシュを使っていますか?歯ブラシのタイプに関わらず歯ブラシだけでは40%の磨き残し、プラークが残ってしまうというのが数多くの研究でいわれています。(Petker 2019) そのため、フロスや歯間ブラシなどの歯間部の清掃は欠かせないのですが、残りの磨き残しを補助する意味で使うのがマウスウォッシュです。

興味深い研究が1つあり、日本人は33%の人しかマウスウォッシュを使用していない一方、アメリカでは63%の人たちが使っているということで、大きな開きがあります。ちなみに、歯間部の清掃具合についても同様のことが言えまして、日本の人たちは全体の43%、アメリカでは全体の74%の人たちが歯間部の清掃をしているということで、やはり少し日本とアメリカでデンタルIQの差が見受けられるのかと感じます。(Hanioka 2015)

マウスウォッシュを理解する上で大事なものというのが「バイオフィルム」という概念になります。このバイオフィルムというのは、いわゆるばい菌の集合体なんですが、基本的に個体の表面にばい菌がつく際は、ブロックを形成してヌメヌメしたコロニーを作るわけです。この外部からのいろいろな攻撃や薬品などをブロックする働きをするのが、このバイオフィルムです。いわゆるキッチンのヌメリですとか、歯の表面にプラークとして付く形のものになります。

このバイオフィルムに対してどのようにアタックしていくかというので、このマウスウォッシュは大きく分けて2つに分かれます。イオン系と非イオン系です。

  1. イオン系は、マウスウォッシュがイオンの形で電荷を帯びている形になっていまして、マウスウォッシュ自体はバイオフィルム表面の電荷に対してくっついてくるわけです。そのためバイオフィルムの中までは浸透しないということになります。基本的に歯の周りにはプラークのバイオフィルムがあるので、このイオン系のマウスウォッシュはプラークがある限りは到達しないことになります。種類としては、イオン系のものはクロルヘキシジンがありCHXなどとも呼ばれますが、日本で代表的なものとしてはコンクールです。そして塩化ベンゼトニウムもあり、日本での製品名はネオステリングリーンです。
  2. 非イオン系のものは、電化を帯びていないために、このバイオフィルムの表面を通り越してバイオフィルム内部にある細菌たちを攻撃して、プラークに対して効果的に届くというのがこのタイプになります。短時間で殺菌効果がもたらされるというのが1つの特徴です。そして非イオン系の種類はエッセンシャルオイルなどがあります。これは植物由来の成分で、代表的なものとしてリステリンが挙げられます。ポピドンヨード、いわゆるイソジンといったものもこのマウスウォッシュに当てはまります。

次回はこの中でよく歯科と関連して使われるCHX(クロルヘキシジン)とリステリンについてお話をさせていただきます。

アメリカのリステリン。アメリカ歯科医師会でも使用が承認されています。

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