今回は少し趣向を変えて虫歯について、主には虫歯のメカニズムについてお話をさせていただきます。
一生懸命歯磨きをしても虫歯になってしまう方もいれば逆にそうでない方もいらっしゃると思うんですけれどもそれが何でなのかというのをこれから複数回かけてシリーズでお話をさせていただきたいと思いますので乞うご期待ください。
まず初めに虫歯のメカニズムなんですが、1964年にKeyesという人が3つの要因があって虫歯が発生するということを言いました。主にはですね1つ目が細菌の要因で、いわゆるむし歯原因菌の要因、2つ目が食事・環境要因、そして3つ目が宿主もしくは歯自体の要因、この3つが重なり合った部分で虫歯が発生するといっています。そして1976年にNewbrumはこの3要因に加えて時間の要因も合わせて虫歯が発生するとしました。
そもそもこの虫歯が感染性の病気というのが分かったのがかなり最近になってからなんです。
それが先ほども言ったKeyesという人が1960年に主にハムスターの動物モデルを使った実験でそこでようやくそれまでささやかれていた虫歯のメカニズムについてというのがかなり紐解かれるようになりました。そこで虫歯が感染るものなんだということがいわれています。
主な原因菌としてはこれからも耳にするかもしれないので覚えておいていただきたいのですがStreptococcus mutansという菌(SM菌)が1番の悪さをする虫歯原因菌として言われています。1924年にClarkという人達のグループがまず同定をしているんですがその後にGibbonsという1975年のグループがどうやらこれが虫歯に対して1番の悪さをする菌だということを見つけています。
1978年のKohlerという人たちの実験では「口腔内にこのSM菌がたくさんいる母親たちはその子供もまた口腔内にこのSM菌をたくさん持っている、逆も然りで、低いSM菌レベルの母親たちは子供達も低いレベルのSM菌のばい菌を持っている」ということがこの研究から明らかになっています。そこで、ある一定の傾向が親子関係であるんじゃないかっていうのがいわれ始めました。
その後1993年にCaufieldという人達が「感染の窓」という概念を言っています。これは何かというと生まれたばかりの赤ちゃん、新生児というのは実はお口の中に常在菌がいないとされていて、生後19ヶ月から31ヶ月の間(平均で2歳2ヶ月)のこの期間中にどうやら母親もしくはそれに類似するご家族の方などからこの虫歯原因菌 SM菌など他のばい菌を受け継いでしまうといわれるようになってきました。これは、実際に40組ぐらいの親子を、子供が生まれた時から5年間フォローアップをした結果です。
主には19ヶ月から31ヶ月の間で虫歯の原因菌を子供に受け継ぐとされていて、逆にいうと31ヶ月なので3歳ぐらいまで多く見積もって3歳ぐらいまでに例えば口移しで食べ物を与えない、スプーンを共有しないなどというふうな事を気を付けると子供達が虫歯になるリスクはかなりぐっと低くなるっていうのが言えるかなと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
次回以降も第2、第3要因についてお話ししていきます。