前回から歯肉退縮の患者さんご自身のリスクについてお話しさせていただいています。炎症、強いブラッシング、硬い歯ブラシの3つを前回説明しました。残りの3つをご紹介します。
4. 加齢
こちらに関しては何も起きていなくても、例えしっかりメインテナンスを行っていたとしても毎年人というのは0.1mmぐらいは組織のロスが起きてしまうと言われています。他の研究からも明らかになっていてAneurudの1991年の研究などでもたくさん言われていますがそのことからも、単純に0.1mmが1年あたりに起きる組織のロスだとすると10年間では1mm退縮が生じてしまうんです。そうすると徐々に加齢とともに歯茎が下がってくると考えられ、このように局所的じゃないにせよ全体的に歯茎が下がってしまうというのは免れられないかもしれません。
6. 喫煙
Manchalaの2012年の研究だと喫煙によるリスクは2倍とされています。そもそもタバコ自体は歯周病に対してもすごく悪さをするもので、歯ぐきへの栄養や血液の供給がうまくいかないことや 免疫が抑えられてしまうことが、タバコを吸うと起きることなのでそうすると歯周病がどうしても起きてしまいます。一般的には研究によると歯周病自体もタバコによってリスクは大体4倍ぐらいと言われているのでそのことからも歯周病が起きて歯肉退縮が起きるという経路も考えられますし、タバコ自体が直接歯肉退縮に対して悪さをしてしまうリスクも2倍というふうにされているのでタバコ自体はなるべく控えた方が良いです。特に歯肉退縮や歯周病がある方は徐々に徐々に本数を減らしていくべきかなと思いますのでぜひご検討ください。
今回まで、患者さんのリスクということでご紹介させていただきました。しかしよく考えるとこれらのリスクがあったら全体的に歯ぐきが下がってしまうのか、と考える方もいらっしゃるかもしれませんがよく見受けられるのは局所的に歯茎が下がってしまうというケースも多いです。これ自体はなぜ起きるのかというのは歯や歯茎、この周りの局所的な因子が関わっていることが多いのでその辺りのリスクも次回お話しさせていただきますのでご期待ください。