前回歯肉退縮についての患者さん全体のリスクというのをお話しさせていただきました。そこでは歯周病の歴や喫煙歴そして矯正治療歴などが歯肉退縮に一般的に関係してるんですよというお話をさせていただきましたがではそういったリスクを抱えている方々が全員歯肉退縮を患うかというとそうでもありません。そこで、何がもっと歯肉退縮に局所的に関わるかということを今回お話しさせていただきます。
前回もお話しさせていただきましたが矯正の治療歴があると歯自体が全体的に傾向としては外側に動かされる傾向があります。歯は歯槽骨に埋まっているんですが骨から歯自体が出っ張ってしまうと、結果として歯ぐきが下がってしまうというのが解剖学的に言えます。歯根の突出具合というのも関わってきます。つまるところ歯が出っ張っていれば出っ張っているほど歯自体を許容するスペースが組織的になくなってしまうので歯肉が下がってしまいます。
これは本当に患者さん個人個人で千差万別になっています。特に人種での違いというのが見受けられるところが大きく、アジア人は一般的に欧米人に比べて、歯肉自体が薄いという傾向が見受けられます。主な薄い・厚いの境界値は大体1mmと言われていて、1ミリよりも厚いものっていうのが厚い歯肉のタイプ、そして1ミリよりも薄いものが薄い歯肉のタイプと言われています。薄い歯肉のタイプの人たちというのは歯肉退縮にかかりやすいというのが科学的に言われているところになります。
小帯とは、上唇小帯、下唇小帯、頬小帯などがありますが、これは歯茎から粘膜につながっているヒモ状のような組織のことを指しておりまして、いわゆる粘膜と歯茎の連結部分のような役割を果たしています。この小帯がくっついている部分がかなり歯寄りに、歯の方に向かって高くくっついてしまっているとそれによってしゃべったり何か口を動かしたりするときにその部分を通してテンションがかかります。歯茎にテンションがかかってしまって結果歯茎自体がぐっと引っ張られ、力が働いてきてそして歯肉退縮につながってくるというふうに言われています。そのため小帯付着はヒモ状のこの組織がかなり上の方にくっついている方というのは傾向としては歯肉退縮にかかりやすいです。
角化歯肉というのは一般的に天然歯を囲っている赤色からピンク色のいわゆる硬い健全な歯茎の部分を指します。歯茎の下に粘膜というのがつながって頬や唇になっていますが、角化歯肉というのは歯の周りにある歯肉で、 理想的にはだいたい2mmは必要だというのは言われていて2ミリ以下の少ないものについては、歯肉退縮にかかりやすいと言われています。この辺りも皆さん鏡を見ながらチェックしてください。
次回は残りの局所要因3つをお話しします!