初回である今回は、皆様知っているようで意外と知らない歯の構造(解剖)について少し詳しくご説明します!
歯は、歯冠部、歯頸部、歯根部の3部分に大きく分けられます。構成物としてはエナメル質、象牙質、歯髄、神経・リンパ管・血管束から成っております。そしてその周りを歯周組織が覆っています。歯周組織は、その通り歯の周りの組織で歯をサポートしており、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨があります。
- – 歯肉は歯と歯槽骨を覆う粘膜組織の一部で、遊離歯肉、歯間歯肉、付着歯肉から構成され(今後詳しくお話しします)、歯槽粘膜(頬の内側など柔らかい粘膜組織)へと続きます。
- – 歯根膜は、歯を歯槽骨に付着させる線維性の結合組織です。豊富な血管網と知覚神経が存在し触覚、圧覚を受容し、触る、咬むなどを感じる部分です。加齢に伴い一定の変化を受け、さらに、機能的変化や口腔環境に伴う形態的変化にもさらされています。
- – セメント質は、歯根の表面と、時に歯冠のごく一部を覆う特殊な無機組織です。骨と異なり、血液やリンパ管を含まず、生理的な吸収やリモデリングを起こしませんが、生涯を通じて継続的に沈着することが特徴です。他の無機組織と同様、コラーゲン線維も含んでいます。
- – 歯槽骨は、上顎と下顎の歯槽を形成し支えている部分です。歯の発育・萌出と連動して発達します。セメント質、歯根膜とともに歯の付着器官を構成し、咀嚼や歯の接触によって発生する力を分散させることが主な役割です。
- – エナメル質は歯の最外層で、人体で最も硬い硬組織です。約95%が無機質(ミネラル)でほとんどがハイドロキシアパタイト(HA:Ca5(PO4)3(OH)のリン酸化合物)という成分で、初期のう蝕(虫歯)は唾液やフッ素などの作用で再石灰化(エナメル質の再生)が期待できます。
- – 象牙質はエナメル質の内層で、HAが70%でエナメル質よりも柔らかく、う蝕がここまで進行すると、歯科医院で治療を受けなければいけません。(HAは骨やセメント質にも存在します。)
- – 歯髄は通常、健全な硬組織と歯根膜によって、傷害的な影響から保護されています。歯根の根尖部から根管部を経て、神経、血管、リンパ管が通っており、歯へ栄養や酸素が供給されています。う蝕が進むととても痛むのは、この神経を含む歯髄まで細菌による感染が進むためですが、時に全身的に影響を及ぼす感染性合併症を引き起こす可能性もあります。
以上が歯と歯周組織の構造物です!う蝕(虫歯)では歯が、歯周病では歯周組織が破壊され、各症状が現れます。症状が出る前に定期的に検診を受け、予防していきましょう!